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【クリスマス特別企画】ルーカスの冬の冒険ープロローグー【アドベントカレンダー】

明日から始まるYouTubeのアドベントカレンダー企画の「ルーカスの冬の冒険」を10倍楽しむための物語のプロローグを作りました。


※ここからはプロローグです。

――永い冬に閉ざされた町と、ひとりの少年のはじまりの物語


この物語が始まるずっと前。ルーカスの住む小さな雪の町〈ヴァイスベルク〉には、長いあいだ“春”という季節が訪れていなかった。

いつからか、雪は溶けることを忘れてしまい、木々は芽吹かず、人々はその変化を受け入れるように暮らしてきた。

町の中央に立つ古い教会には、代々語り継がれてきた言い伝えがある。

「純粋な心を持つ者が“クリスマスの奇跡”を見つければ、 永い冬は終わり、新たな季節が戻ってくる」

しかし百年以上ものあいだ、その奇跡を見つけた者はいなかった。人々は次第にそれをただの“昔話”だと思うようになり、子どもたちも大人たちも、いつしか奇跡の存在を口にしなくなっていった。

そんな町に、ひとりの少年がいた。ルーカス——生まれたときから雪景色しか見たことがない少年。けれど彼の心には、雪とは正反対の温かい光が灯っていた。

彼は誰よりも他人に優しく、困っている人を見れば自然と手を差し伸べてしまうような少年だった。純粋で真っ直ぐで、時に周囲から「変わってる」と言われることさえあったが、ルーカス自身は気にも止めなかった。

ある冬の朝、いつものように白い小径を歩いていたとき、彼の胸の奥で何かが小さく震えた。

——今年のクリスマスは、何かが起こる。

そう思った理由はなかった。けれど雪に覆われた空気の中、風さえも息を潜めたように静まり返った町を歩くルーカスは、確かに感じたのだ。

まるで“誰か”が遠くから彼を呼んでいるような不思議な感覚を。

その夜、暖炉の前で母と話しているとき、ルーカスはふと、町に伝わる“クリスマスの奇跡”の話を思い出した。

「ねぇ、お母さん。 クリスマスの奇跡って、本当にあるの?」

母は少し驚いた顔をしてから、静かに笑った。

「昔はね、みんな信じていたのよ。 でも……あまりにも冬が長すぎて、皆、諦めてしまったのかもしれないわね」

その言葉を聞いたとき、ルーカスの胸がぎゅっとした。

——諦める? 口にしなくなる? 本当に、そんなものでいいのだろうか。

その夜、布団に入ってからも眠れなかったルーカスは、暗い天井を見ながら、胸の内で小さく決意した。

「誰も信じなくなってしまったなら……ぼくがもう一度信じる」

その瞬間、部屋の窓の外で、雪明かりがふっと揺れた。

風がないのに、白い光がさざ波のようにきらめいた。それはまるで、言い伝えの“奇跡”が、ルーカスの小さな決意にそっと答えたかのようだった。

翌朝、彼は雪の町を歩きながら、胸の鼓動が少し早くなるのを感じていた。冬しか知らないこの世界で、初めて“未来”というものを掴めそうな気がしたから。

そして、ルーカスはまだ知らなかった——この旅が、町に光を取り戻し、永い冬を終わらせる最初の一歩になることを。

雪深い小径の向こうで、物語は静かに動き始めていた。

 
 
 

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